日時:2012年6月17日(日)~22日(金)
場所:フロリダ州オーランド
「日本では、解雇されることはほとんどない。」オリンパス元CEOであるMichael Woodford氏はランチセッションで述べた。ラスベガスのカジノで1億4700万ドルを散財した製紙会社の社長は、解雇になったという。「それほどの理由がなければ、日本において解雇になるということはありません。」
Woodford氏は、オリンパスが長年の投資損失を隠ぺいする目的で17億ドル以上の不正経理に関する疑義を突きつけたあと、オリンパスの取締役会は昨年日本の企業のトップに立った4番目の欧米人であったWoodford氏を解雇したのだ。
その後、彼は職を取り戻そうと試み、オリンパスに損害賠償を求め訴訟を起こし、書籍を出版し、今ここで世界中に向けて企業文化の透明性の必要性について講演している。
「身を賭して真実を追求」したとして、ACFEは2012年クリフ・ロバートソン・センティネル賞を贈った。
30年以上オリンパスに勤め、日本と日本人を愛するようになった『サラリーマン』の彼はこう述べた。
2011年4月1日、日本人以外で初めてオリンパスの社長兼COOに登用され、同年7月に日本の小規模経済誌(FACTA)に掲載されたオリンパスの不可解な企業買収に関する記事を目にした。
7月20日に出版されたFACTA誌8月号において、オリンパスは2006年から2008年にかけて医療関連廃棄物のリサイクル業、化粧品等販売業、電子レンジ用食器の製造販売業の3社を総額7億7300万ドルで買収したと書かれていた。しかし、そのほとんどが一会計期間内に減損処理されていた。同誌はさらに、買収された3社は赤字続きであるとも指摘した。
8月2日、オリンパスの会長(当時)菊川剛氏との昼食の席で、Woodford氏はFACTA掲載記事の真偽を問い質した。会長は、単なる「世論を煽ろうとする大衆雑誌のゴシップ記事」だから心配には及ばないと言った。記事にある不可解な買収のことをなぜ知らせてくれなかったのかとWoodfordが訊ねると、菊川は、それは日本国内のことであり、忙しい社長をわずらわせるほどのことではないからだと答えた。
10月1日、WoodfordはCEOに指名された。9月20日に発刊されたFACTA誌10月号に追跡記事が掲載されると、Woodfordはオリンパスの役員たちに向けて最初の書簡(全6通中の1通目)を送り、懸念を表明した。
一方で彼は、プライスウォーターハウスクーパーズに対して、疑わしい取引内容についての調査を委託した。6通目の書簡を送ったあと、10月14日、Woodfordを解任するために菊川氏は臨時取締役会を招集した。会社の借上げマンションから退去し、バスで空港に向かうよう命令された。FACTA誌に書かれていた反社会的勢力の関与を恐れ、帰る道すがらずっと後ろを気にしながら帰国した。
職を取り戻すことは出来なかったが、ほとんどの一連の事件の関係者が起訴された。「日本での裁判有罪率は99%です。これは『正義がなされた(justice was done) 』一例に過ぎません。」