日時:2018年6月18日(月)~20日(水)
場所:ネバダ州ラスベガス
第 29 回 ACFE グローバル・カンファレンスが開幕しました。今年も世界各国から 3,000 人を超える ACFE 会員が集まりました。
今年の会場はネバタ州ラスベガスのホテル、マンダレイ・ベイ リゾート&カジノです。ラスベガスには多くのカジノホテルがあり、マンダレイ・ベイは東南アジアのリゾート地をモチーフにした黄金色に輝く外観が非常に目を引くホテルです。メイン会場となった Ball Room は想像以上に広く、満席でも快適で華やかさが溢れる会場です。
朝 7:30 から展示ブースの会場で軽い朝食が準備され、参加者は朝食をとり、リラックスして展示物を見て回れます。
展示ブース会場では、スポンサーの展示だけでなく、過去の不正事件を展示した Fraud Museum があり、不正関連の書籍や ACFE のノベルティも販売されています。
8:30 から Opening Ceremony がはじまり、今年は、数年ぶりに復活した国旗の入場行進が行われ、カンファレンスの開会宣言がされました。ACFE JAPAN の新理事長 藤沼 亜起も日本の国旗を持って入場行進しました。
2018 年 3 月に就任した ACFE 新会長のブルース・ドリス (Bruce Dorris) が熱い開会のスピーチを行いました。今年のキャッチフレーズ"POWER UP"の通り、CFE の皆さんにカンファレンスでリセット (reset) し、リチャージ (recharge) し、心から POWER UP し、不正防止のプロフェッショナルとしてますます世界で活躍することを期待していると話され、参加者が大きな拍手で応えました。
そして、前会長のジェームス・ラトリー (James D. Ratley) も登壇し、参加者へ ACFE の今後の飛躍の可能性について話しました。
基調講演では、2018 年のクレッシー賞 (Cressey Award) を受賞した欧州刑事警察機構 (Europol) の前執行役員 (Executive Director) ロブ・ウェインライト (Rob Wainwright) が登壇し、テロリストに流れる不正なお金の収入源である、偽のドラッグやその製造工場についての現状について講演しました。
テロなどの国際犯罪を防ぐには、国境を越えた情報・知識の共有、そして何よりも連携を強化することが必要不可欠であると強く訴えました。
午前中の分科会では、"Fraud and claims of Malpractice in Accounting and Consulting Firms"(会計・コンサルティングファームにおける不正と過誤による訴訟) を聞きました。講演者は、株式会社フォレンジック・ストラテジック・ソリューションの社長であるラルフ・サマーフォード (Ralph Q. Summerford) です。
このセッションでは、実際の訴訟事例をもとに、データ分析の重要性、会計士および監査人は、疑わしいことや普通ではないと感じたことは、どんなに些細なことでも掘り下げて分析することが不正を早期発見するために欠かせないと述べていました。
ワーキング ランチの基調講演では、AI の専門家であるマーティン・フォード (Martin Ford) が登壇し、人間の仕事がいかに AI によって代替されるか、人間がどのように自身の仕事を確保すべきかについて講演しました。
印象に残っている言葉は、「AI は消費しない、そして、経済では、人間と政治だけが最終需要を提供する」です。AI が広く活用されることで経済が発展するという印象を持っていましたが、人間が仕事を失うことは消費が減ることにつながり、経済へダメージを与える要素があるのだと感じました。
午後の分科会では、FBI の特別捜査官 (Special Agent) であるミラン・R・コサノビッチ (Milan R. Kosanovich) による"Virtual Currencies:How They Operate and How Criminals Exploit Them"(仮想通貨:その機能と犯罪者による利用) の講演を聞きました。彼は FBI で 9 年以上の経験を持つホワイトカラー犯罪を専門とする捜査官です。
ビットコインの事件をもとに、仮想通貨の基本的な知識およびブロックチェーンについて分かりやすい解説があり、最後に仮想通貨は、一時的なブームではなく、将来、必ず企業が契約や取引媒体として使うだろうと述べていました。
1 日目最後の分科会では、"Interviewing Techniques:Dealing with Difficult Situation"(インタビューの技法:困難な状況に対処する) の講演を聞きました。講演者のシャーマン・マグルー (Sherman McGrew) は、1979 年に軍に入隊し、退役時は米陸軍中佐でした。イラクにも 2003 年と 2008 年の 2 回派遣され、その後刑事としても活躍されたインタビューのプロフェッショナルです。
基礎的なインタビュー技術から敵対的な容疑者への対応方法など彼なりのアドバイスでとても盛り上がった講演でした。
初日の最後は、毎年恒例の各国の支部 (Chapter) 代表が集まる President Reception に参加しました。再会の喜びや新たなメンバーとの交流で、温かい雰囲気でした。
報告者:ACFE JAPAN 事務局