日時:2012年6月17日(日)~22日(金)
場所:フロリダ州オーランド
6月19日火曜日午前中の基調講演を行ったのは2010年金融規制法案、ドッド・フランク法(Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act)の法制化に尽力した上院銀行委員長Dodd議員です。Dodd氏は、「企業のコンプライアンス部門、倫理委員会をたらいまわしにして通報者を思いとどまらせないでください。」と述べた。
「問題を指摘するまともな善人を、リスクを伴う社内の複雑な手続きを踏ませるのは間違っています。」2008年の金融危機を受けて、100万ドルを超える政府の罰科金に対して通報者に10%から30%の報奨金を支払う制度が定められた。さらに同法案により民間人が通報できるよう、SEC内に内部告発者部(Office of the Whistleblower)を設置させた。
ドッド・フランク法は通報者に対する報復行為を明確に禁止し、雇用者から解雇や差別などの違反行為が認められた場合には、通報者に民事上の訴訟権を与えている。正式名称「ドッド・フランク ウォール・ストリート改革および消費者保護法(Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act)」は、ウォール・ストリートにあるような金融機関に対し税金からくる公的資金を投入して救済することは行わない方針を定めた。
「私たちの社会には、問題を特定し積極的に発言する人はいるのでしょうか。それともプレッシャーが重く、回避してしまうのでしょうか。」
Dodd氏によると、通報を考えている人でも、自社のしかるべき部門に報告をすれば、職を失う恐れがあり、『密告者』のレッテルを貼られ、努力して得たボーナスを受け取る権利を間接的に奪われるかもしれないのではないかと、通報を躊躇してしまう恐れがある。
「全員にヒーローになるよう勧めているわけではありません。」
SEC内に内部告発者部(Office of the Whistleblower)を設置したことで、通報が増える可能性があるでしょう。
さらに同氏は、連邦政府が当初、内部告発者条項制定に対し後ろ向きであったことを明かしました。法案成立により、根拠のない偽の通報が殺到すると考えていたからです。現在までのところ、そのようなことは起きていないようです。
「同法案は、強力な法案です。内部告発者条項が実際に機能していて、結果も出していることを改めてSEC及びSEC委員長Mary Shapiroに感謝を申し上げたい。そして何よりここにいる皆様のご支持に感謝します。」
Dodd氏は、2010年に退職するまでの36年間、コネティカット州を代表する連邦議会の議員を務めた。現在は、アメリカ映画協会 (Motion Picture Association of America)会長兼CEOを務めている。