日時:2017年6月19日(月)~21日(水)
場所:テネシー州ナッシュビル
「私が皆さんにお奨めしたいのは、大胆であること、新しい手法や技術を試すこと、そして後の成功のために、今、恐れずに失敗することです」と世界的な銀行 HSBC の金融犯罪脅威対策(Financial Crime Threat Mitigation, FCTM)のグローバル部門代表であるジェニファー・シャスキー・カルベリーは 6 月 19 日のオープニングの基調講演で述べた。ACFE はカルベリーの不正発見と抑止に対する生涯にわたる業績に対して彼女にクレッシー賞(Cressey Award)を贈った。
「我々は、金融犯罪の発見・抑止・根絶のための能力における重要な時にいると私は思います。そして我々は断固とした決意を持って彼らの挑戦と闘わなければなりません」と彼女は述べた。「我々が、自身の目標にこのように取り組むならば、我々が共に成し遂げられることは誰に分かるでしょうか?」
カルベリーは、米司法省(U.S. Department of Justice, DOJ)で長年勤務した後、金融犯罪取締ネットワーク(Financial Crimes Enforcement Network, FinCEN)の局長を経て、金融犯罪の特定、分析、調査の責任を担う HSBC の新しい部門である FCTM の代表になった。
「皆さんの多くは、金融機関で、または金融機関との密な関係の下に仕事をしているかと思います。テロリスト、腐敗した役人、大量殺りく兵器を拡散する者、詐欺師を問わず、あらゆる種類の犯罪者は、利益を得るために秘かに資金を動かし、自分達の活動を円滑にする必要があることを、我々は理解しています。このような秘密の資金の動きについて詳しく把握している組織は金融機関をおいて他にないのです」とカルベリーは述べた。
カルベリーは、急増している「ビジネスメールによる不正侵入(business email compromise, BEC)」スキームに対する HSBC の取り組みについて語った。このスキームは、不正実行犯が経営幹部になりすまして組織に侵入し、従業員その他の人間を騙して電信送金や秘密情報を開示させようとするものである。
「BEC の実行犯は、銀行の顧客を欺いて正しい支払いだと信じ込ませるので、銀行は BEC と闘うために従来型の手法に依存することはできなくなっています。犯罪者は、この種の不正を防止し、妨害するための斬新な方法を開発するように我々に挑戦しているのです」とカルベリーは語る。
カルベリーは、BEC との闘いに役立つ手法として、銀行顧客と不正検査士に以下のステップを提案した。
カルベリーは、HSBC の上層指導者は最近自社の従業員がマネーロンダラーやその他の銀行を標的とする犯罪者を発見するのに必要とする資質をリストにしたと語った。「問題解決力、粘り強さ、好奇心、勇気。これらは我々が特定した能力の中のほんのいくつかですが、これらの特別な資質は、我々が金融犯罪との闘いの新たな方策を考える時にリスクを負う中核となるのです」
カルベリーは、世界の公共・民間部門の多くはパートナーシップを構築しており、協力したいという明確な意欲を持っていると言う。「最近 18 か月で、世界の 20 を超える政府が金融犯罪を発見・妨害するため、法執行機関、規制当局、金融部門によって編成される官民情報共有パートナーシップの発展を約束しました」
「ウィンストン・チャーチルは、次のように言っています。『向上とは変化である。完全になるとは、しばしば変化することである。("To improve is to change; to be perfect is to change often.")』しばしば変化し、お互いに協力して金融犯罪との闘いに取り組みましょう」