日時:2013年11月21日(木)~22日(金)
場所:シンガポール
2日目の基調講演は、ACFE VICE PRESIDENT であるBRUCE DORRISがKNOW YOUR FRAUDSTERと題して、講演しました。
『不正実行者は、周りの人と見た目は、何も変わらない。』
だからこそ、不正リスクマネージメントプログラムの構築ならびに実行が重要だと強調しました。
お昼に行われた基調講演CHALLENGES IN CREATING AN ANTI-FRAUD ENVIRONMENTは、インド最大手の自動車メーカーTATA MOTORS LIMITEDのCHIEF INTERNAL AUDITOR であるNAGESH PRONGE により行われました。彼は、30年近くにわたり、 金融機関、小売業、製造業で内部監査のキャリアを積んできたため、自分の経験に基づいた、各業界の不正の特徴とその対応策について紹介しました。
本講義では、英国の大マンチェスター警察で12年以上インタビューの経験をもつJONATHAN DAVISONによる講演が行われました。
インタビューにおけるPEACEモデルの紹介と(PEACEモデルについては、2月21日のACFE Japanセミナーで高木教授に講演していただきます。)記憶の不確かさについて動画を用いて強調しました。途中参加者全員が立ち上がり、『隣の人と背中合わせになり、その人の服装についてどれだけ覚えているか言い合う』という実験を行ったところ、隣にいたフィリピンからの参加者も私も、お互いの服装を明確に覚えていることはできませんでした。
ERNST&YOUNG FIDS のPARTNERであるROGER DARVALL-STEVENSによる講演は、内部通報に関する報告書が紹介されました。
統計によれば、回答者のうち81%は、「通報を行う心構えはある」が、「所属している企業に通報制度が整備されている」と回答したのは32%に過ぎないということです。
講演中、参加者から活発に質問が投げかけられました。『匿名の通報を受けつけるべきか』という質問に対しては、『寄せられる通報のうち60%以上は匿名です。匿名の通報を無視するということは、半数以上の情報を逃しているということになります。』と解説がありました。
詳しい調査報告書は、次のリンクからダウンロードしていただけます。
パネルディスカッションは、会場参加型の形式で行われました。不正対策の専門家がアジア・パシフィック地域において不正と戦うためにどのような取り組みをしていくべきなのかという議題に対して最も多く時間が割かれたのは、内部通報制度確立に関する意見のやりとりでした。『通報をしても報復の心配がない企業文化の構築が必要』、『地域によって通報ポリシーをわずかにでも変えた方がいいかどうか』、『金融機関の通報制度は、十分整っていると言えるかどうか』など、会場の質問を受けながら進みました。
パネルディスカッションの冒頭にMCAULEYが述べたことは、「5年前アメリカで不正実行者を捕まえるのに有効だったトラップが、今アジア・パシフィック地域で有効に働いている」ということです。経済が急激に成長している地域には、金が集まり、不正の温床となっています。と同時に、不正対策の必要性ならびにCFE資格者もまた、今後、急激に成長することでしょう。
ディスカッション中、紹介された報告書
ERNST & YOUNG ASIAN PACIFIC FRAUD REPORT 2013ACFE Japan事務局 今村淳子