米国 ACFE 本部で提供されている「How one fraudster rationalized his crimes」の内容を邦訳しました。
不正実行者である Chuck Gallagher が、なぜ「信用」を通じて横領を始めたのか、自分が行った横領が「不正のトライアングル」にどのように当てはまるのかを説明します。
An interview with Chuck Gallagher (Convicted fraudster)
Chuck Gallagher です。以前は CPA (Certified Public Accountant, 米国公認会計士) で、横領・脱税 (税金不正) を行いました。
Embezzlement shows Fraud Triangle in practice
従業員の誰もが「不正のトライアングル」の要素にさらされています。
「動機」は、差し迫ったお金の必要性です。たとえばある日、すっかり忘れていた住宅ローンの請求書が銀行から届くかもしれません。自分の場合は、まさにそうでした。
「機会」は、簡単に問題を解決できる方法があるかです。いくつかの方法がありましたが、私が選んだのは、最も容易で単純な「信用」による解決でした。
「正当化」は、聞こえのいい言い訳です。誰かが私に問い掛けます。「家のローンを支払うためにお金を盗むのかい?」「いいや、盗んだりはしない。ちょっと借りるだけさ」
不正のトライアングルを通して見ると、私の場合はすべてが当てはまっていました。この例を通じて、不正がそれらの 3 要素で成立していることがわかると思います。
「信用」をお金に変えるのは簡単です。融資会社に向けて「$2,000 を利子 10% で 4 月末まで貸してください」と送るだけです。そうして得たお金を横領します。
Gallagher's rationalizations led to long-term fraud
一度 (借りた) お金を返済してみて、この不正が簡単にできることに気付きました。
少なくとも 24 年、おそらく 30 年近くは、この不正を続けてきました。感覚としては、ひとつ買ったものを、もうひとつ買おうかな、という感じです。もう一度同じ方法で不正を行い、返済しました。
「正当化」という表現は難しいですが、「とりあえず今はそれでいい」と思う感覚です。
不幸なことに、不正を行っても、人間関係は何も変わりませんでした。妻との関係も同様で、お互いに責めることもありません。しかし、私たちの人生は末期状態でした。
劇的な変化はありませんでしたが、ひとつだけ気付いたことがあります。それは、自分が成功者であるように振る舞うことで、より多くの成功者と言われる人を引き寄せられる、ということです。
組織の成長のためには、企業か行政か非営利団体かを問わず、実業家を引き寄せなくてはいけません。私は、クライアントの信用と、定年退職後の計画を建てようとする人の信用を悪用しました。
自分の生活水準が高まるに従い、奇跡的により多くの顧客が付きました。しかし、自分の収入も増やしたいと思い、不正を始めました。
「借りた」お金を返すためには、その利子の分も含めて、より多くのお金を「借りる」必要があります。もちろん、「借りる」というのはただの名目で、実際には借りているわけではありませんでしたが、それを 3 年半もの間続けることになりました。