執筆者:Hallie Ayres, Contributing Author
新しい学年が始まるのに合わせて、保護者、教師、学校管理者、生徒が警戒を怠らず怪しい詐欺に騙されないよう、最新の詐欺事件を紹介します。
2021年7月、テネシー州ナッシュビルのAZ Kelley 小学校でPTA会長を務めていたTiffany Bell被告が2017年の夏にPTAの経費約5600ドルを盗んだ詐欺と窃盗の罪で起訴されました。Bell被告はPTAのデビットカードを使ってATMから現金を引き出し、WalmartやFamily Dollar、Kmartで個人的な買い物に使っていました。
2017年秋にPTA口座の請求に気が付いた保護者がBell被告を問いただしたところ、彼女はPTA会長を辞職しました。PTAの役員はMetropolitan Nashville Public Schoolsと共にテネシー州当局に調査結果を報告し、Bell被告の起訴につながる正式な捜査が始まりました。Bell被告の公判日程はまだ決まっていませんが、彼女の行動の結果としてテネシー州長官はAZ Kelley小学校のPTAを解散させました。
会計監査人のJason Mumpower氏は、この事件から学べる教訓を学校管理者や保護者に思い起こさせる機会として利用しました。「学校を支援する組織は全ての回収金を適切に監視し、全ての支出の請求書や領収書などの書類を保管しておくべきです」と彼はプレスリリースに書いています。
こちらも2021年7月に、連邦大陪審はミシシッピ州教育省に対する詐欺の罪で、母親のNancy New被告と息子のZachary被告の起訴状を修正しました。数カ月前の2021年3月、The Newsへの起訴状に書かれていた被害額は200万ドルでしたが、修正された起訴状では被害額は400万ドルに上っています。
どちらの被告も最初の起訴に対して無罪を主張していますが、2人は9月15日に21の罪で裁かれることになっています。数十年の懲役刑と何百万ドルもの賠償金の支払いを科されるとみられています。
営利企業New Learning Resource Inc.が所有するThe Newsは、ミシシッピ州で多くの私立学校を経営していました。2017年から2020年にかけて、公立及び私立学校に資金を提供するミシシッピ州適正教育プログラムから、教育省に提出された偽造書類に基づいて数千ドルがNew Learning Resource Inc.に支払われていました。書類には、現在は学校で働いていなかったり、これまで勤務したことがなかったり、フルタイムではない教師についてフルタイムの給料を支払ったと書かれており、学校の資金の必要性を誇張して教育省に報告していました。
メリーランド州ボルチモアにあるAugusta Fells Savage Institute of Visual Arts高校は、2019年から2020年にかけて実際には授業に出席していなかった21人の学生の入学書類の件で非難にさらされています。メリーランド州教育省は各学校に通う学生の人数に基づいて資金を提供しています。毎年ボルチモアの学校は学生一人当たり1万6千ドルを受け取りますが、Augusta Fells校は「幽霊学生」のためとして33万1653ドルもの血税を受け取っていました。
Baltimore City公立学区も同様のスキャンダルに見舞われています。同学区は2014年に978人、2016年に1900人の学生数を過大に報告したためお金を返還することを余儀なくされています。返還額は2014年が300万ドル、2016年には2500万ドルにのぼっています。これらのケースについて学校管理者は非難をかわそうとしています。市長、教育委員会、各学校の校長は責任を取ることを拒否しています。
英文タイトル :Fraud Prevention 101: 3 School-Related Scams to Look Out For
英文記事リンク:https://www.acfeinsights.com/acfe-insights/2021/8/23/fraud-prevention-101-3-school-related-scams-to-look-out-for
原文掲載日:2021年8月25日
翻訳:ACFE JAPAN事務局
※わかりやすさを優先させるため、意訳を行っています。ACFE JAPAN (一般社団法人 日本公認不正検査士協会) 公式の邦訳とは異なる表現を使用している場合があります。