会報誌「FRAUD マガジン」
ACFE では、1987 年より会員向けに不正リスク対策の専門誌 “Fraud Magazine” を隔月でお届けしています。不正対策の専門家 (公認不正検査士) たちの研究や実務経験に裏打ちされた最新の不正対策情報や、不正対策の分野で活躍する様々な方々へのインタビューなど、興味深い内容が満載です。
ACFE JAPAN では、本部が発行した英語版と主要記事の日本語訳をお届けしておりましたが、2008 年 1 月に会員向け会報誌として日本初の不正対策専門誌「FRAUD マガジン」を創刊しました。“Fraud Magazine”[英語版] の邦訳記事だけでなく、日本における不正対策の情報や、日本で活躍する会員のご紹介、当協会の活動なども取り上げています。研修会や勉強会などでもご利用いただける充実した内容で会員の皆様にお届けしています。
FRAUD マガジン 91号~最新号のご案内
最新号 FRAUD マガジン 100号(OCTOBER / NOVEMBER 2024)( 2024年10月 発行 )
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『FRAUD マガジン』日本版100 号記念特集日本のガバナンスとACFE JAPAN、飛躍への提言
八田進二先生 特別インタビュー
『FRAUDマガジン』日本版は本号で創刊100号を迎えた。2008年1月の刊行以来、世界における不正対策の最新情報を扱った翻訳記事から会員活動報告まで、多様な情報を提供している。日本版刊行の契機は、現在、当協会の評議員会会長を務める八田進二先生の米国版の特集インタビューであり、J-SOX法の理念と詳細を、米国をはじめとする世界のACFE会員に伝えて反響を得た。日本版創刊号の表紙も飾った八田先生に、日本におけるガバナンスや不正対策研究の歴史を紐解いていただき、さらに2025年に創立20周年を迎えるACFE JAPANへの提言を頂いた。聞き手は、本年7月に就任した福岡広信専務理事(兼事務局長)である
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職業上の不正をより深く理解する
~ACFE「2024年度版 国民への報告書」
ACFEの「職業上の不正に関する国民への報告書」は、不正と闘う人々から、職業上の不正に関する最良の調査として認められている。ACFEのCEOであるジョン・ウォーレン(John Warren)(J.D.、CFE)が、この職業上の不正、不正実行者と被害組織、被害などに関する包括的なレポートの第13版を詳しく解説し、不正対策専門家がこの悪質な経済犯罪から組織をより効果的に保護できるように支援する。
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ニューヨーク南部地区連邦地検では全てが優先事項
本誌は、米国で最も影響力のある連邦検察局の一つであるニューヨーク南部地区連邦地検(SDNY)から、ダミアン・ウィリアムズ(Damian Williams)米国連邦検事が、金融詐欺と汚職との闘いをどのように指揮しているかを考察する。
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リアルタイムのディープフェイクによる完璧な不正行為
リアルタイムのディープフェイクは、AI(人工知能)によって誰かの声、映像、動きを本物の動きとほぼ同時にビデオやオーディオに利用する技術であり、不正行為の最新スキームとして悪用されている。本記事では、リアルタイムのディープフェイクを利用した不正スキームと、これに対抗するために何ができるかを著者が解説する。
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不正実行者の犯罪心理を探る
ホワイトカラー犯罪者は、彼/彼女らの企みを実行するため、他人の善意を操り、搾取することに長けている。金融詐欺との闘いにおいて、これらの行動を認識し理解することは、重要な要素である。この記事で著者は、いくつかの悪名高いホワイトカラー詐欺師/不正実行者の事例研究を通じて犯罪的思考の特性を詳述し、不正検査の専門家がこれらの特性を認識するために使用できる戦略とツールを提供している。
FRAUD マガジン 99号(AUGUST / SEPTEMBER 2024)( 2024年8月 発行 )
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真実を伝えるという危険な仕事
2022年、報道調査記者(調査ジャーナリスト)のJeff German氏は、末日聖徒イエス・キリスト教会の信者を標的にしたポンジ・スキーム(ネズミ講)の記事の核心につながる糸口をつかみかけていた。しかし、彼はそれを執筆できないまま、殺害された。彼の死後、別の記者であるLizzie Johnson氏が彼の遺志を引き継ぎ、German氏に代わって記事を仕上げた。本誌は、Johnson氏とGerman氏の調査を振り返り、German氏の遺産を称え、ジャーナリストが仕事上で直面する危険について、Johnson氏と語り合った。
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学術不正の解明
学術上の不正や詐欺行為は想像以上に大規模かつ複雑で、さまざまな形態がある。著名な教授や研究者は、データの改ざんやねつ造で日常的に調査を受けている。ここでは、なぜこのようなことが起こるのか、そしてこれらの不正行為を検知し、防止する最善策について考察する。
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基準公開に備えて待機せよ
英国「詐欺防止不履行罪」は企業の説明責任の明確化を目指し、組織はその施行を待つ
英国の2023年「経済犯罪と企業透明性法」の重要な条項の一つである「詐欺防止不履行罪」は、2024年後半か2025年には施行される予定である。この不履行罪は、金融犯罪と闘うための英国政府の総合戦略の一環であり、不正行為に対する企業の説明責任を促すことを目的としている。 この記事では、不正対策の専門家がこの新しい法律を評価し、不正行為を防ぐための「合理的な手順」ルールに関する英国政府のガイダンス(基準)公表を待つ間に、組織が準備のために何をすべきかを考察する。
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SECによる検査増加は不正と闘う専門家に吉兆
米国証券取引委員会(SEC)は、他の多くの機関と同様に、新型コロナ禍と予算制約にさらされた。しかし、筆者の調査によれば、SEC委員長は法規執行活動の強化及び資本市場改革にしっかり真剣に取り組んでおり、それは不正と闘う専門家たちにとって吉兆である。
FRAUD マガジン 98号(JUNE / JULY 2024)( 2024年6月 発行 )
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共に反抗する
Jennifer Griffith氏(CFE)とSarah Carver氏(CFE)は、弁護士と行政法判事(ALJ)の間で何千件もの障害者給付申請を不正に承認する工作が行われていることを、勤務先の米国社会保障庁(SSA)の上司に数年間にわたって報告した。しかし、大規模な不正を暴いた彼らに報いるどころか、上司は彼らに報復した。Carver氏とGriffith氏は、内部通報者としての道程と、不利な状況に置かれても真実のために闘う勇気について、本誌に語った。
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フェアにプレイする:サッカー界での不正行為
ストライカーとゴールキーパーがいる国際的なスポーツであるサッカーは世界中で愛されているが、プロチームが勝利と経済的生き残りを競う激しいゲームでは、不正は日常茶飯事だ。ここでは、フィールド内外での多くのスキームと、サッカークラブやリーグがスポーツの不正行為と闘うための有意義な対策を紹介する。
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「撤回不能信託」
〜ポンジ・スキーム破綻からACFE財団への25 万ドルの寄付に至る方法
2023年、Christopher Linscott氏(CFE、CPA、CIRA)はACFE財団に対して過去最大となる25万ドルの寄付を行った。ここでは、何千人もの元軍人や退役軍人から金を騙し取ったポンジ・スキームが、その寄付のきっかけとなった経緯を紹介する。
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ブロックの背後で
〜暗号資産のパイオニアが歩んだ、受刑者からコンプライアンスへの転向の道
Charlie Shrem氏は、ダークウェブでの麻薬販売を間接的に助長したとして逮捕されたとき、先駆的なビットコイン取引所BitInstantのCEOとして暗号資産(仮想通貨)業界のトップにいた。今、刑期を終えたShrem氏は、暗号資産におけるコンプライアンスと規制のエバンジェリストへと変貌を遂げたこと、そして暗号資産業界が次に進む道について、本誌に語る。
FRAUD マガジン 97号(APRIL / MAY 2024)( 2024年4月 発行 )
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不正、売り出し中
ダークウェブの犯罪者はいかに不正行為を一般的なビジネスのごとく仕立て上げるか —そしてこれはCFEにとって何を意味するか
多くの人にとって、ダークウェブは、不正実行者が独りで暗号化したメッセージのベールに隠れて被害 者をだましている、薄暗い空間を思い起こさせる。しかし現実は、犯罪者のためのAmazonのような、オープンマーケットプレイスに似ており、多種多様な不正行為のための商品が売られ、ブランディング、マーケティング、収益性に重点が置かれている。それは脅威ではあるが、法執行機関にはチャンスでもある。その理由は以下のとおりである。
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その香りは何?
香水とフレグランスの偽造は、消費者にとって実際の脅威となっている
商業用フレグランスや香水は大きなビジネスであり、この数十億ドル規模の業界には危険な行為や詐欺 行為が少なからず存在する。本記事では、模倣品と偽造品の違い、そしてなぜ大手香水メーカーが自社ブランドを保護するのに苦労しているのかを考察する。
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腐敗した中央銀行総裁に崖から突き落とされるレバノン経済
レバノン経済は腐敗した金融政策、横領、まやかしの監督機構により崩壊した。ここではリアド・サラメ (Riad Salameh)が総裁を務めた30年間のレバノン中央銀行(Banque du Liban:BdL)の失策を分析する。
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サードパーティの電子メール暗号化サービスの利用は保護策か危険信号か?
グローバル企業は、ビジネスを遂行するために何千ものサプライヤーやベンダーを利用している ため、サードパーティ・デューデリジェンス(TPDD)の最新の調査ツールを使用する必要がある。ここでは、疑わしいサードパーティが電子メール暗号化サービス(及びそれに対応した主要な電子メ ールアドレス)を使って違法行為を隠蔽し、貴重なデータを窃取する手口を発見する上でのTPDDの活用方法を検証する。
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2023年の最もスキャンダラスな5大不正事件
私たちは毎日、不正実行者や策略家、そして金銭的な利益のために人々を利用しようとする彼らのさまざまな企てに関するメディアの記事を目にする。しかし、中にはあまりにも大胆で衝撃的な報告もあり、私たちは注意を払わなければいけない。毎年、ACFEは検討委員会とともに、この先何年にもわたって悪名高く語り継がれ、不正対策活動に従事する人々にとって貴重なケース・スタディとなると思われる事件を選定している。
FRAUD マガジン 96号(FEBRUARY / MARCH 2024)( 2024年2月 発行 )
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英国における詐欺犯罪の撲滅
政府の戦略はこの国最大の犯罪問題に十分向き合えているか
英国では現在、全犯罪の40%以上を詐欺が占めている。本稿では、イングランドとウェールズにおいて詐欺行為が蔓延している背景と、詐欺行為の撲滅に向けて政府が起こすべきアクションについて専門家の進言を探る。
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全てがデマで牛はいなかった
牧場主は何十万頭もの食肉牛を生み出した――実体のない
Cody Easterdayは米国ワシントン州の牧場主であり、評判の良い農家であった。その後、米国の食肉加工最大手であるタイソン・フーズ社は、彼が少なくとも4年間にわたり、実在しない26万5,000頭の食肉牛(畜牛)の飼育と飼料の代金として2億4,400万ドルの偽の請求書を、同社と他の会社に請求していた実態を突き止めた。彼は電信詐欺の罪を認め、連邦刑務所で11年の刑に服している。以下は、検察官、捜査官、不正検査士に基づく、この詐欺事件の分析である。
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投資詐欺:あなたの資金に対する悪いリターン
投資家は昔から詐欺師や不正実行者によって資金を失ってきたが、苦労して得た貯蓄を詐欺師が窃取するのが容易になったデジタル時代において、投資詐欺の規模と被害額は拡大する一方である。本稿では、さまざまなタイプの投資詐欺と、注意すべき危険なサインについてみていこう。
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政治的ネットワークによる不正疑惑の回避
「社会的影響」が不正調査の障害になる脅威
サム・バンクマン=フリード、エリザベス・ホームズ、バーナード・マドフ。彼らの共通点は何だろうか。彼らは、業務上のネットワークにおける際立った社会的影響を利用して、銀行口座を不正に膨れ上がらせ、犯罪を長引かせたとされる。不正と闘う人々も、彼らのような狡猾な手口にだまされてはいけない。
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FORD氏の不正との闘い
FBI元副長官兼COOが数十年にわたる不正との闘いを回想
CFEのJoseph L. Ford氏は、人生を不正との闘いに費やし、米連邦捜査局(FBI)においては、ファイル整理係から同局のナンバー3の地位にまで上り詰めた。FBIを退官後、バンク・オブ・ザ・ウエスト (BNPパリバの米国子会社)のチーフ・セキュリティー・オフィサーを務めて、現在は自分自身でコンサ ルティング会社を立ち上げた。大小さまざまな不正事件を捜査した経験と、そこから学んだことについて彼に話を聞いた。
FRAUD マガジン 95号(DECEMBER 2023 / JANUARY 2024)( 2023年12月 発行 )
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547日間に及ぶタイ刑務所での不当収監
1MDB事件の内部通報者はいまだに就職難に直面
マレーシア政府系ファンド、1MDBからの45億ドル以上にものぼる横領事件は、世界で最大級の巨大な 金融詐欺事件であり、マレーシアの一般国民の財産が失われた悲劇でもある。Xavier Justo氏はこの巨額詐欺事件の責を負うべき不正実行者を告発した時から直面した悪夢のような経験と、彼がこの過程で学んだ教訓について、本誌に語った。
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非行に及ぶ内部監査
内部監査部門の放任の危険性
仕事や生活のあらゆる面に影響を与えるスキャンダルに満ちたこの世界においては、内部監査人も悪事と無縁ではいられない。時として発生する内部監査人による犯罪や非行を見つけ出す方法、そして彼らの不適切な行動を思いとどまらせ、探知するための実用的な手法を紹介する。
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欺瞞の「技巧」を理解する
誰かを自白させることはもとより、誰かが嘘をついていることの証明は非常に難しい。認めよう、不正実行者たちは巧妙で、人をだます術に長けていることを。ここでは、心理療法士で人間行動学の専門家でもあるデヴィッド・リーバーマン博士が、嘘の兆候を理解し、自白を得る方法を教示する。
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変化への挑戦
ACFEの理事会メンバーは、彼らが代表する各セクターに豊かな経験をもたらしている。ここでは、常に進化し続ける不正対策のいくつかの課題と継続的専門教育の重要性について論ずることにしたい。
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記録の更新
米国ワシントン州シアトルで2023年6月に開催された「グローバル・カンファレンス」では、不正検査士の出席者数の記録が塗り替えられ、ACFEによるオンラインと対面式によるハイブリッド(複合型)のグローバル・カンファレンスは、必見の行事として定着した。基調講演では不正や腐敗を調査し、真実を明らかにする講演が披露された。
FRAUD マガジン 94号(OCTOBER / NOVEMBER 2023)( 2023年10月 発行 )
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真実を追い求める者
米司法省(DOJ:U.S. Department of Justice)のマイケル・ホロウィッツ(Michael Horowitz)監察総監は、実直な人間及び熟練した調査担当者として高く評価されている。彼は、パンデミック対策説明責任委員会(PRAC : Pandemic Response Accountability Committee)の委員長としての現状の役割、COVIDに関する救済金を支出する際に発生した過ち、その結果として生じた不正行為に関する大きな失敗の再発を避ける方法、そして事実に厳密にこだわることの重要性について本誌に語った。
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ケネディ暗殺がどのようにしてウォール街のメルトダウンを阻止したか
崩壊の危機に瀕する
1963年11月22日金曜日午後2時7分、ジョン・F・ケネディ米大統領が射殺されたというニュースが速報で流れた直後、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は取引を停止した。市場は下降線をたどり、停止までの7分間で110億ドルの資本が失われた。一方、ケネディ大統領暗殺の数時間前、NYSEのG.Keith Funston社長は、20世紀最大の先物商品スキャンダルの1つが暴かれて市場が暴落するのを防ぐため、あらゆる手を尽くしていた。
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お粗末なリスク管理による銀行の没落
多大な損害を引き起こす不正行為を追跡するには?
経済の変化、暗号資産(仮想通貨)預金、脆弱な管理、無能な経営陣により、2023年は特に、投資対象としてハイテク産業の比重が大きい多くの銀行が苦境に立たされている。しかし、各金融機関のどの経営幹部も、ただ隙を突かれた、とされるべきものではなかった。大恐慌以来、リスク管理は金融界のモットーとなっていたのだ。そして、自己満足と傲慢が不正につながるおそれがあることを私たちは知っている。ここでは、銀行が破綻した経緯と、組織が正しく対処するための注意点を紹介する。
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文書不正の検知
小切手詐欺を含む文書不正の事例が近年爆発的に増加している。本記事の著者は、この古くから存在する不正の蔓延の背景にあるものと、それを阻止するためにCFEが活用できる最新のテクノロジーについて述べていく。
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デジタル時代における雇用詐欺の急増
詐欺師はどのような新しい手口で求職者からまき上げるのか
あたかも「有利な就職はそれほど難しくはないですよ」という具合に、求職者は今、詐欺師が金銭や個人情報を盗み取ろうとする虚偽広告に用心しなければならない。ここでは、雇用詐欺が急増している理由と、危険な兆候を見分ける方法について考察する。
FRAUD マガジン 93号(AUGUST / SEPTEMBER 2023)( 2023年8月 発行 )
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真実の追跡
調査報道ジャーナリストが最高レベルの不正を追及する
Miranda Patrucic氏は中央アジアやヨーロッパで腐敗事案の調査報道に関わってきた。ジャーナリストとして数々の受賞歴がある同氏が、世界中の汚職官僚を追跡した際の経験や課題、そして彼らがなぜ法を犯すのかについて、本誌に語った。
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銃後の守り
不正検査士が語る ―― 身近な人を詐欺の攻撃から守る方法
不正検査士は、詐欺師をはじめとする経済犯罪の実行者から組織の安全を守るために懸命に働いているが、自分の身近な人が詐欺師や不正実行者の狡猾な手口の犠牲になるかもしれないことを考えておくべきである。本稿では、CFEが自分の家族や友人が詐欺や不正行為に遭わないように、どのようなことを実践しているかについてインタビューを行った。
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ChatGPTは不正の最新の入口か?
サイバー犯罪の実行者やハッカーはそのスキルの高さから、不本意なことではあるが称賛されることが多い。ハッキングやサイバー犯罪には、かなりの知識が必要なため、こうした活動をするのは、ありがたいことにごく一部の選ばれた人間に限られている。しかし、新しいボットであるChatGPTは、そんな状況を一変させるかもしれない。その理由と、不正検査士が反撃のためにできることを紹介する。
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「キラーナース」から学ぶ不正の教訓
チャールズ・カレン連続殺人事件は、私たちがより優れたCFEになるためにどのように役立つのか
元正看護師のチャールズ・カレンは、ニュージャージー州とペンシルベニア州の病院で16年間に29人の患者を殺害した罪で、11回連続の終身刑を言い渡されて刑に服している。著者は、その事件の調査に協力しており、その後の不正調査に有用な組織の欠陥について伝える。
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組織内部にいる敵
経営層の裏切り
リーダーや経営者による不正への関与は世界中でよく起きる状況であるが、組織にとてつもない損害をもたらす。ここでは、筆者が不正調査を行った1件の事例から、組織図の上層部による不正行為に対して、不正検査士がどのようにアプローチすればよいかについて、ヒントを提供する。
FRAUD マガジン 92号(JUNE / JULY 2023)( 2023年6月 発行 )
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暗号資産の西部開拓時代と、典型的な不正
FTX社の破綻から得られた教訓
暗号資産(仮想通貨)の取引事業者、FTX社とその創設者、サム・バンクマン・フリードの急成長と突然の没落は、金融市場の新たな西部開拓(未開の新規市場の開拓)を理解しようとする不正検査士にとっては不可欠なケーススタディになるだろう。本記事では、何が起こったのかを検証し、おそらく米国最大の金融不正事件の1つとなるであろう本件から得られた教訓をみていく。
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サイバー・トレイルの捜索
数々の受賞歴がある雑誌「WIRED」の記者、Andy Greenberg氏が、本誌の取材に応じて、ビットコインの追跡とインターネット上の詐欺師や不正実行者、ダークウェブ上のその他の犯罪者との戦いにおいて法執行機関がいかに優位性を保ち続けているかについて記した彼自身の最新の著書について語った。
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無実であるのに罪を認める時
虚偽の自白を理解し防止する
なぜ犯してもいない罪を告白するのだろうか。糾弾的で攻撃的になるようにトレーニングを受けた面接担当者は、対象者にプレッシャーを与えて罪を認めさせるものである。虚偽の自白は、不当な解雇や誤った有罪判決につながり、罪のない人間の人生を台無しにするだけでなく、本当の犯罪者を野放しにして罪を積み重ねる自由を与えてしまう。ここでは、より高い倫理のガードレールを正しく順守する不正検査士が、虚偽の自白を防ぐ方法を紹介する。
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復興期における不正行為
~ウクライナを待ち受けるもの
戦争や自然災害、その他の災害で荒廃した国家を再建するとき、がれきの中から立ち上がる勇敢な努力は、もう一つの無形の資質である、誠実さと組み合わせなくてはならない。しかし私たちは、経済的な復興を優先してきた経験からいえば、経済的な復興と並行して腐敗を防止する対策を講じることが不可欠である。
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ディスカウント不正
グレーマーケットの闇
一般に、グレーマーケット製品の販売は合法と考えられているが、詐欺目的で正規の流通網から大幅に値引きされた製品を横流しするものも多い。ここでは、数百万ドルの割引を不正に獲得する、まん延しているものの比較的知られていないタイプの不正行為を検証する。また、この不正行為の回避方法も紹介する。
研究会寄稿/事例でみる海外子会社の不正対応―第2回―
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中堅企業の海外進出と内部統制の不備
FRAUD マガジン 91号(APRIL / MAY 2023)( 2023年4月 発行 )
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メディケアの損失・欠陥
〜民間保険会社がメディケア制度を悪用して不正を行う方法
高齢者医療・介護のための民間(社会保障)セクターであるメディケア・アドバンテージは、米国における医療詐欺、給付不正との戦いの新たな戦線となりつつある。その理由と、不正検査士が考える対処法について説明する。
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調達不正を阻止する
〜調達のインテグリティーをデータ分析技術で特定する
組織は、物品・役務の調達を必要とする。不正実行者たちは、欠陥のある調達システムを標的にすることを好む。なぜなら、膨大な量の資金があるからだ。しかし、データ分析技術によって調達のインテグリティー(清廉潔白性)の侵害を阻止できる。
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不正な製品置換との戦い
軍用機器における製品代替や偽造部品の危険性については、以前から不正行為として認識されてきた。しかし、世界的なサプライチェーンの不足と米軍内における旧式部品への需要が、この問題を悪化させている。ここでは、米国海軍犯罪捜査局(NCIS)の元調査担当者が自身の経験と、積極的・予防的な取り組みの強化がいかに役立つかを語る。
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不正検査士は私立探偵のスキルから何を学べるか?
公認不正検査士の中には私立探偵/調査員(PI)の資格を持ち、そのスキルがよりよい実務家になるために役立ったと言う人もいる。ここでは、彼らが私たちに教えてくれることを紹介しよう。
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2022年の最もスキャンダラスな5 大不正事件
毎年ACFEは、諮問委員会の意見を踏まえつつ、被害額や生活への影響、及び不正対策専門家実務との関連性をもとに、1年を通じて発覚した最もスキャンダラスな5大不正事件を選出して解説している。2022年を振り返り、最新のリストを公表する。
研究会寄稿
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事例でみる海外子会社の不正対応(1)
今回の連載では3 回にわたり、ACFE会員による「みんなで創る不正対応研究会」の研究テーマの1つである、「海外子会社における不正対応」について、海外子会社で生じた具体的な不正事例を取り上げて解説していく。