日時:2013年6月23日(日)~28日(金)
場所:ネバダ州ラスベガス
ACFEカンファレンス初日の基調講演で、米国屈指の不正事件に関する記者であるアラン・ドッド・フランクは、このように述べた。「ACFE会員と私たち記者は、兄弟とまでは言えないかもしれませんが、いとこくらいには言えるでしょうか。長年、幸運なことに不正調査を専門とする多くの方々と出会い、仕事を共にしてきました。その中で、我々は似た特性をいくつか持ち合わせている、と自信を持って言えます。おそらく、特筆すべきは、我々に共通するモチベーションは、金儲けから極端にかけ離れているということです。」
米誌ニューズウィークと米誌デイリー・ビーストにも寄稿しているフランクは、過去最高2,600名の参加者を前に、現場の記者とあらゆる種類の不正調査専門家の共生関係について述べ、数々の苦労話を語って聞かせた。同時に、ACFEはフランク氏にガーディアン賞(Guardian Award)を授与した。ガーディアン賞は真実を追求することを決断し、維持、コミットした不正の分野および不正と闘う世界的な取組みに焦点をあてることでACFEの活動に大いに貢献したジャーナリストを称え、贈られます。
米誌ブルームバーグでは、バーナード・マドフ事件、AIGの崩壊、デニス・コズロウスキー(訳注:タイコ・インターナショナルの元CEO)訴訟、マーサ・スチュワート(訳注:株インサイダー取引に関与し、禁固刑に服しているカリスマ主婦)訴訟の記事を担当した。現在彼は、世界のホワイトカラー犯罪者についての本を執筆中である。さらに、フォード基金の助成金を得て、米国海外報道クラブ(Overseas Press Club of America)記者向けに世界的なデータベースを構築する陣頭指揮を執っている。
「多くの記者や、不正調査に携わる方は私が推測するに、法執行官、検事、フォレンジックに携わる方、コンプライアンスオフィサーのほとんどは、正義は重要であるという概念に同意している。個人や社会を守るためにはフェアプレーと正直かつ率直な態度が必要です。さらに、公平な法の適用が必要です。」とフランク氏は述べ、「記者は、世の中に起きていることを、飽くなき好奇心と公平な、けれども巧妙な手口を独特に組み合わせて真実を探求・検証する。同じ出来事をあらゆる側面から攻めるために知恵を絞ります。そのため、先の事件からの細かい情報やささいな事実を長い間覚えています。」と付け加えた。
「お金のためではなく、憤りと追求心を長期にわたり維持することができます。」優れた記者は、たいてい並はずれて辛抱強いんです、と彼は述べました。「真実を発見し、おおよその事実に迫ることに時間をささげています。そして、冒険談を話すことが大好きな我々を、犯行者はほとんど失望させることはありません!」とフランクは述べた。「しかしながら、多くの方々とは違って、私は調査を許可する令状、裁判所の命令、CEOや取締役会の支援はありません。不正検査士と責任あるプロの記者と力を合わせて共に働く新しいモデルを創り出せるかもしれません。何名かで集まって、不正実行者に関するリアリティーテレビ番組を始めてみるのもいいかもしれません。素手でナマズを手づかみしたりワニを捕獲したりする奴らだけにいい思いをさせていていいのでしょうか。」
「人は皆、人間行動に関する分野においては、勉強中の身であることから、一つ教えていただきたいことがあります。『今日における不正実行者は誰なのか。』」フランク氏は以下のようにも述べた。「多くの参加者に出会い、次の調査対象者は誰にするべきか様々な意見を聞くことを期待しています。私の耳にいれておくべき事件や目標についての書類などがあればぜひ送ってください!話疲れ、読み疲れ、を大いに歓迎します。
FRAUD MAGAZINE 編集長 Dick Carozza