一般社団法人 日本公認不正検査士協会:理事長 藤沼 亜起 (ふじぬま つぐおき)
2022 年の新年を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。
会員の皆様におかれましては、平素より日本公認不正検査士協会 (ACFE JAPAN) の活動にご理解とご支援を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。
2021年は、残念ながら新型コロナウイルス感染症の世界的流行が収束せず、グローバル規模で経済・社会が不安定な1年でした。しかし、当協会にとってはメルクマールとなる大きな動きが3つございました。
第一は、不正防止やガバナンス強化を体系的に習得できるeラーニング・システム「e-fraud」を完成・公開したことです。日本における不正対策教育のパイオニアとして、当協会が蓄積した実績とノウハウを活かして独自に開発した教材であり、第一線の著名な専門家が結集して執筆から監修までを担いました。
第二は、より幅広い不正対策人材の育成を図る目的で、日本公認会計士協会(JICPA)を始めとする他組織との連携活動を本格的に開始したことです。JICPAの手塚正彦会長には「第12回 ACFE JAPANカンファレンス」の基調講演に登壇いただき、会計分野における不正対策の重要性の認識と共に、将来的な当協会との連携構想をお話いただきました。これらの一環で、2022年から「e-fraud」がJICPAの研修用教材として正式に導入される見込みとなりました。
第三は、公認不正検査士(CFE)の有用性について、わが国でも幅広く認識されてきた状況です。一例を挙げると、金融庁が11月に公表した「会計監査の在り方に関する懇談会」の論点整理において、会計監査の更なる信頼性確保と公認会計士の能力向上策として「不正の防止・発見・抑止に関する資格である公認不正検査士の試験・研修から参考となる内容を取り入れること」が明記されました。資格取得だけでなく継続的専門教育(CPE)を含めて、不正対策の実務家として公認不正検査士への社会的な注目が確実に集まっています。
この3つのメルクマールは、会員の皆様のご活躍、当協会へのご協力の成果であると強く感謝しています。それと同時に、これらを通過点として2022年は更なる飛躍を目指していく所存でございます。「e-fraud」を中心とした不正対策教育の普及促進、不正対策を共通目標に掲げた諸団体との連携促進——具体的には公益的なコンソーシアム(共同事業体)の構築、そして公認不正検査士の社会的責務が増していく中で不正事案と対峙している第一線の会員の皆様をこれまで以上に支援していくことを、私たちの責務として認識しています。
日本公認不正検査士協会は2005年に始動し、2022年で17年目を迎えます。会員数は現在2,484名(2021年12月現在)で、このうち 1,786名が公認不正検査士として登録・活躍されています。ACFE本部も、昨年時点で世界各国に9万名近い会員を擁する組織へと成長しました。グローバルな組織の一翼を担う上でも、私たちは重要な役割を担っています。引き続き、皆様のご支援とご協力を賜りたく何卒よろしくお願い申し上げます。
2022年が会員の皆様にとって、ますますのご発展・ご活躍の年になることをお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
一般社団法人 日本公認不正検査士協会 理事長
公認不正検査士 (CFE)、公認会計士
国際会計士連盟 (IFAC) 会長 (2000-2002)
日本公認会計士協会 会長 (2004-2007)
IFRS 財団 評議員会 (Trustees) 評議員および副議長 (2005-2014)
などを歴任
国際会計士連盟 (IFAC) 2019 年 Global Leadership Award 受賞