日時:2014年6月16日(月)~18日(火)
場所:テキサス州サンアントニオ
ACFEカンファレンス初日のワーキングランチのセッションで元連邦捜査局 (FBI) 長官のルイス・フリーは次のように述べた。「皆さんの組織や良い評判にとって重要なことは政府や不正防止の民間の組織・団体との関係を構築し相互の連携を図ることです。このようなことはFBIの歴史の中で何年もの間見られなかったことです」
フリーは、FBIに勤務していた当時、度々CFEを調査に伴い、深く関与してもらったと語った。フリー・グループ・インターナショナルおよびペッパー・ハミルトングループのトップとして、現在もなお公認不正検査士(CFE)との緊密な協力関係にある。
フリーは基調講演で、自らのFBI在職期間の教訓を語り、CFEの長所を称賛した。
「ニューヨークの第2裁判所の裁判官の会議で話したことですが、最も大きな変化の1つは、捜査官が利用できる最新の技術です。その巡回裁判の裁判官全員の主要なテーマは技術が裁判官に与える影響であり、特にサイバー犯罪、サイバーテクロノジー、そしてサイバー・テロに関心が集まっていました。数多くの知見が先端の技術系企業によって提供され裁判官に影響を与えています。裁判官は複雑な事案を陪審員に説明するだけでなく、今は様々なプラットフォームから得られるようになった証拠の出所とその完全性を理解しなければなりません」。
フリーは、ニューヨーク市のFBIオフィスでの1975年頃の最先端技術の状況についての回想を語った。「ある事件で、我々は犯罪組織の構成員の会話を秘密裏に録音する必要があり、FBIの研究所にその当時の最先端の技術を準備するよう依頼しました。彼らは一足の靴を送ってきました。その靴の中にマイクが内蔵されていたのです! 幅が4Eでサイズは12 1/2(訳注:日本サイズの30.5cmに相当)くらいあったでしょうか。この件の録音の冒頭の言葉は『ジョン、足をどうかしたのかい?』でした」。
「技術は1975年のマイクを内蔵した靴の頃から何光年分も進歩していますが、変わらないものもあります。CFEが不正防止の組織や法執行機関にもたらした最も重要な付加価値は、信じがたい経験と深さです。」
「(CFEと共にある)最も大きな政府の2つの組織が、米国内国歳入庁(IRS)とFBIであることは偶然ではありません。情報を共有する能力と相乗作用により、かつて我々の歴史になかったことが起こっています。自分自身の調査から学んだことですが、CFEと理事の皆さんは自分の受けた教育、認定、そして名声により、反不正の組織に対する優れた貢献を行い、民間の依頼者や企業のために行った努力により極めて大きな信用を得ています」とフリー氏は述べた。
「皆さんの多くは、契約またはその他の形態で政府のために働いています。その情報、その関係は、非常に特別なものであり、長い年月の間に進化してきました。そしてまたFBIも進化してきました。FBIそして多くの政府機関が持つ障害は、外部の変化に対応しようとする傾向です。積極的な内部からの革新的な思考によるものではなく、外から来る出来事の結果として、教育をし、備えをし、法令による認可を得ようとします」。
彼は、1908年のFBIの最初の捜査官は財務局の職員であり、銃を持った犯罪者や銀行強盗の捜査官ではなく、会計担当者だったと述べた。「彼らは武器を持たず、誰かを逮捕する権限もありませんでした。1933年までそういったことはできませんでしたが、金融犯罪に対処する必要性から進化を遂げました」。そして、さらなる外部での変化はFBIの銀行強盗、組織犯罪、麻薬犯罪の捜査に影響を与えたとも述べた。
9.11以降のテロ対策は、必要ではあるが、資源、法令当局の綱領のほぼすべてが投入された。「やっと景気後退から抜け出し、深刻な世界規模の経済犯罪やサイバー犯罪に関する指針や重点的な取り組みが復活しました」と彼は述べた。
ルイス・フリー氏 基調講演の動画はこちらから:
https://www.fraudconferencenews.com/home/2014/6/18/video-keynote-speaker-louis-j-freeh
FRAUD MAGAZINE 編集長 Dick Carozza