基調講演:Dr. David Lieberman
調査員が嘘と欺瞞を見抜く方法を再考する
Rethinking How Investigators Detect Lies and Deceit
6月12日(月)12:30〜 基調講演
リーバーマン博士は、嘘を見抜くための心理学、特に実際に何が有効で、なぜそれが有効なのかについて、巧みでしばしばユーモラスなストーリーテリングを織り交ぜながら講演した。人間行動と対人関係の分野で世界的に有名な心理療法士であるリーバーマン博士は、世界中でワークショップを開催しており、13冊の著書を執筆している: 最新作は「Mindreader: The New Science of Deciphering What People Really Think, What They Really Want, and Who They Really Are」である。
リーバーマン博士は、人間の嘘やごまかしを見抜く能力は50~60%に過ぎないという研究結果を紹介している。皆さんも、「話す間が空く」「反応が遅れる」「目を合わせない」「そわそわする」など、人を欺く行為に共通する指標に心当たりがあるのではないだろうか。しかし、近年の新たな研究により、これらの指標の多くは、時間の経過とともに信頼性が低下することが判明している。もし、これらの認識できる合図が本当に正確であれば、嘘を見抜く能力は時間とともに向上していくはずではなかろうか?
リーバーマン博士は言う。「実際、はい、嘘をついている人は、そういうことをします。そして、当然ながら問題なのは、自然に不安や緊張を感じている人たちもまた同じことをするのです。私たちは、単に神経質で不安でいる人と、そうでない人を区別するメカニズムや手段を必要としているのです。」
同様に、捜査官は、一般的に共有されている欺瞞の指標に依存すると、偽の自白を得る危険性がある。リーバーマン博士は、フリップサインのように、本来は緊張や不安を抱えている人が、プレッシャーの中で冷静になることで、捜査官がインタビュー対象者の動機を見誤るような行動を挙げている。
相手の真の動機を引き出すには、「自尊心」(=人が自分自身についてどのように感じるか)と「エゴ」(=人が本当の自分または他人に本当の自分はこうであると信じて欲しい人物のどちらかを投影するメカニズム)の間の力学を理解することが役立つ。例えば、自尊心が低く、エゴが「へこんでいる」人は、自身のなさを見せる傾向があり、調査員はこれを欺瞞的な行動の指標と判断してしまう可能性がある。
こうした古典的な欺瞞の認識メカニズムが必ずしも正確でないことをまず受け入れることが、真実を明らかにする方法を学ぶ上で重要です。