今般,9 月 9 日に日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)における不正会計部会の研究成果としての事例研究報告書を ACFE JAPAN のウェブサイト(会員用)において公表いたしました。
不正会計部会は,①公認不正検査士(CFE)の知識及び経験等の知見を集約し,②これを各会員に還元し,CFE の不正対応実務のレベルアップを図るとともに,③ACFE JAPAN における CFE 会員の研究成果を社会に還元することと等を目的に,昨年 5 月に立ち上げた部会です。
CFE 資格取得者は,実務における不正対応に関する問題意識を有するからこそ,CFE 資格を取得しています。したがいまして,CFE 資格取得者は,CFE 資格の取得自体が目的ではなく,資格取得後において,ACFE JAPAN というプラットフォームを利用して不正に関する知識の習得を行うとともに,実務における不正対応という同じ目的を有する会員相互の交流を通してそれぞれの不正対応の能力の向上を図っています。不正会計部会は,この会員相互の交流の一つとして立ち上げた部会です。
不正会計部会は,現在,CFE である事業会社内部監査経験者,公認会計士,米国公認会計士,税理士,弁護士等の有志 9 名で構成されおり,原則として,月1回(第 1 木曜日,午後 7 時から午後 9 時)部会を開催しています。部会においては,過去の不正会計事案を題材として,各メンバーの知見に基づき分析を行うことにより,同種不正の発生の予防及び早期発見に資する改善案を提示し,CFE の能力向上に資するとともに,社会における不正の予防及び早期発見に寄与することを目的として,事例研究を行っています。
今回公表した事例研究は,椿本興業事案を題材として,不正の予防及び早期発見に資する内部統制の整備・運用の在り方について提言を行っていますので,ご興味・ご関心のある方はぜひご一読頂き,ご意見・ご批判等を頂ければ幸いです。あるべき内部統制は必ずしも一つではなく,それぞれの会社の経営環境等によって様々であると考えます。したがいまして,それぞれの会社においてどのような内部統制を構築するかは,内部統制のグラウンドデザインを行う経営陣の考え方や,実際に内部統制を作り込んでいく担当者のセンスに依拠せざるを得ません。今回の事例研究報告書における提言が,内部統制や監査等の実務に携わる方々の気付きのきっかけになることを望んでおりますし,また,皆さまからのご意見・ご批判が今後の部会の活動を通して,不正対応の実務に反映できればと考えております。
なお,最後に,今回の事例研究報告書は,当該事例に係る当該会社,監査法人,その他第三者委員会等による報告書等の批判を目的としたものではないことを申し添えさせて頂きます。
ACFE JAPAN 理事
公認会計士 宇澤事務所代表
公認会計士、公認不正検査士