ACFE から「職業上の不正と濫用に関する国民への報告書」(“Report to the Nations”)2014 年版が公表された。ACFE は全世界の公認不正検査士
(CFE) に対して、彼らが手がけた不正案件に関するアンケート調査を2年毎に実施しており、2014 年版の本報告書は、世界 100 ヵ国以上から寄せら
れた 1,483 件の職業上の不正案件の情報に基づいている。通常、不正の実態は必ずしも公表されるものではないため、不正の全体的な傾向を把握す
ることは容易でない。本報告書は不正に直に触れた専門家の分析に基づくという点で、不正の一般的な傾向を把握し、対策を講じるために貴重な示
唆を与えてくれる。
各年の報告書の内容を読み比べてみれば、起こり得る不正及びその発見には一貫したパターンがあることがわかる。不正の発見のための内部通報
の有効性に関するパターンの例を挙げれば、次のとおりである。
上記の結果は、日ごろいわれる通報制度 ( ホットライン ) の有効性を統計的に裏付けるものである。
不正をもっとも感知しやすいのは、不正行為者と業務上日常的に接触する者であり、不正の早期発見と損失の削減のためには、このような者からの情報を有効に引き出すことが重要であることを説得力をもって物語っている。
私が今回取り上げたのは、本報告書から読み取れる点のごく一部でしかない。本報告書には、職業上の不正の傾向を知り、有効な対策を講じるための示唆に富む情報がまだまだ多く含まれているので、ご一読をお勧めしたい。
※ 2014 年グローバル版(英語) http://www.acfe.com/rttn.aspx
※ 2014 年日本語版は会員の方のみ閲覧いただけます。 閲覧はこちらから
京都監査法人 パートナー
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ACFE JAPAN 理事