ウィキペディアによれば、「プロフェッショナル」には、「その分野で生計を立てていること」という意味のほかに、「ある分野において専門的知識・技術を有していること」という意味も含まれている、という。その意味では、公認不正検査士の資格保有者は、現在どのような職業に就き、役割を担っているとしても、全員立派な「プロフェッショナル」であると考えることができる。この「プロフェッショナル」という言葉には、どことなく「周りから一目置かれる存在」としての誇らしさが、漂っている。しかし、その誇らしさの根拠は、単に「専門的知識・技術を有している」ということだけではないように思う。そこには、「知識や技術により人々の役に立ち、問題解決に資する」「そのことにより、他人から信頼される」という、より積極的な価値が必要であるというのが、自分の個人的な見解である。周囲からの信頼を得るためには、「専門的知識・技術」とともに、それを、実際の場面で的確に活用できなければならない。中途半端な知識や技術や慢心は、かえって過ちを招き、周りに誤解を与えかねない。限定的な領域であったとしても、自己の見解や発言に疑義を抱かれ、訂正を求められる状況になれば、その人の「プロフェッショナル」としての信頼性自体に傷がつくことになる。その意味で、常に外部に対して発言する場合には、慎重を期さなければならない。資格や地位に胡坐をかいた謙虚さを欠く姿勢や発言は、他人に不快感を与えるだけではなく、慎重さを損ね信頼を失うリスクをはらんでいるのだ。
このように考えていくと、「失言」を繰り返しその言い訳に追われる人々は、もはや「プロフェッショナル」ではありえないことになる。「プロフェッショナル」の対義語は「アマチュア」である。最近、責任ある地位にある方々の失言が目立つ。マスコミも、その失言を問題視し大きく取り上げ ているが、当然であろう。社会は、信頼できる「プロフェッショナル」に期待するのであり、「アマチュア」に自分の身を預けたいとは思っていないのだから。
公認不正検査士が「プロフェッショナル」としての誇り高き存在であり続けるためには、自身が謙虚に行動し社会からの信頼を得ていく必要がある。あらためて、「プロフェッショナル」たる公認不正検査士として研鑽をつむとともに、自己の発言には気を付けたいと思う今日この頃である。
ACFE JAPAN 理事
ACE コンサルティング株式会
社代表取締役 公認会計士、
公認不正検査士