平成 26 年の新春を迎え,謹んでご挨拶を申し上げます。平素より,一般社団法人 日本公認不正検査士協会の活動にご理解とご協力を賜り,心から 御礼申し上げます。
当協会の宇澤亜弓理事が昨年末に上梓された玉著『財務諸表監査における不正対応』において「我々公認会計士は,不正リスク対応基準が設定さ れた平成 25 年を不正対応元年と認識し,財務諸表監査における不正対応をその根本から見直す必要がある。」と不正会計事件が後を絶たない待ったな しの状況に公認会計士の真の危機意識の必要性を強調されています。同書を開くたびに,端々にまで込められた不正会計と闘いぬく強い意志を感じ とり,これを多くの監査人とその崇高な職業専門家を目指す方々と共有したいと心を熱くします。
しかしながら,資本主義経済の根幹となる証券市場の公正性を保つためには,監査人の取り組みだけではなく,発行体企業の経営者,監査役や社外取締役などの統治機構,内部監査人,規制機関などの全ての市場関係者のたゆまない努力が必要となります。現代の企業は常に事業のイノベーションを目指し,拠点をグローバル化していく必要があるので,経営者が管理すべき企業不正のリスクも当然の様に複雑化するのです。我々も「不正対策に関するトレーニングのスペシャリスト」として,会員の皆様とともに企業不正と闘って参ります。多くの公認不正検査士が,企業の内部においても経営者を支えて,不正を未然に防止し,万が一の時には早期に不正を発見し,対処し,企業価値を守れるようになって欲しいと思います。
1988 年に米国で始まった ACFE の活動は四半世紀を越え,ACFE Japan も 4 月には 10 年目に入ります。昨年は会員数が 1,200 を,公認不正検査士の数も 750 名を超えました。これも皆様のご支援の賜物です。何卒今後もご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後になりましたが,皆様方のご多幸とますますのご発展をお祈り申し上げまして,年頭のご挨拶とさせていただきます。
立教大学 大学院 ビジネスデザイン研究科 特任教授
The Japan Society of USCPAs(日本における米国行員会計士団体:JUSCPA)副幹事長
博士(経営管理学)立教大学、USCPA(イリノイ州)、公認不正検査士、公認内部監査人、米国公認管理会計士、米国公認財務管理し、サーティファイドフィナンシャルプランナー®
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン副社長、ハリー・ウィンストン・ジャパン社長など外資系企業のマネジメントを歴任。