一般社団法人 日本公認不正検査士協会:理事長 岡田 譲治(おかだ じょうじ)
2024年の新年を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。
会員の皆様におかれましては、平素より日本公認不正検査士協会 (ACFE JAPAN) の活動にご理解とご支援を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。
世界情勢では、ロシアによるウクライナ侵攻の継続、イスラエル・パレスチナ紛争の勃発といった緊張関係が影響し、各国の社会に影を落としています。そして、経済においても、グローバル・レベルでサプライチェーンの混乱が続くといった混沌とした状況が広がっています。
日本国内に目を向けますと、世の中では新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、いよいよウィズ・コロナという、新たな時代に突入した感があります。日経平均株価がバブル経済以来、実に33年ぶりの高値水準に達するなど、明るい兆しもみえた1年でした。しかしながら、有名企業、教育機関、芸能の分野、果ては政界に至るまで、さまざまな組織で不正・不祥事案件が発生し、中には国際的にも注目された未成年に対する人権侵害、自動車産業への信頼を壊す不正行為なども含まれ、日本企業のガバナンス、ひいては日本経済の根幹を揺るがす事態を招いています。まさに今こそ、公認不正検査士(CFE)の実務能力、そして当協会の活動に対し、従来以上に社会の要請が高まっていることを痛感しています。
ACFEにおいて、2023年は変化の年でした。米国本部では7月にジョン・ギル氏が会長に就任、新体制が発足しました。ACFE JAPANにおいても、私が藤沼亜起評議員よりバトンを受けて理事長を拝命した最初の年で、さまざまな意味で新たな一歩を踏み出した年となりました。
第一に、7月より新規入会促進を目的としたウェブ広告プロモーションを初めて展開しています。弁護士、会計士、内部監査人、また企業のいわゆる第2線に従事している方々を主なターゲットとして、「不正と対峙する・不正を許さない」という意識を醸成する必要性を訴え、無料セミナーや資料の提供などを通じて、協会の活動やCFE資格の認知拡大を図っています。
第二に、新型コロナ禍で中断していたACFE JAPANカンファレンスの対面式開催を本格的に再開し、懇親会を4年ぶりに開催しました。用意した会場があふれるほどの大盛況となり、会員の皆様がいかに交流の機会を求めておられたか、私も皆様の熱気を肌で感じることができました。本年の企画にも生かしたいと考えています。
第三は、会員の皆様の活動や交流を支える一助として、各研究会への支援に注力しました。例えば、研究会と「FRAUDマガジン」編集部との共同研究活動として、6月から9月に一般会員の方も参加できる「ディスカッション・ミーティング」を4回にわたって開催しました。このミーティングの成果は、本年の「FRAUDマガジン」の誌上で報告されると聞いております。
研究会は会員の皆様の自主的な活動ですが、ACFE JAPANにとって大変重要な役割を担っていただいていると思います。2024年も協会の「財産」として積極的に支援する方針ですので、活動のさらなる活性化を期待しております。
第四として、日本監査研究学会に賛助会員として入会をしたことを挙げたいと思います。従前、同会の賛助会員は「日本公認会計士協会」「日本監査役協会」「日本内部監査協会」の3団体に限るとしていた会則を変更してまで参加のお誘いをいただいたものです。同会会員の中にもCFE資格をお持ちの方が増えているとのことで、ここでも当協会やCFEへの世の中の期待やニーズの高まりを感じています。今後、こうしたアカデミアとの連携促進も、当協会の使命の一つとして重視します。
2005年に始動したACFE JAPANは、今では会員数2,916名(2023年12月時点)を数え、うち2,101名が公認不正検査士(CFE)として登録・活躍されています。引き続き本年も、辰年にあやかり、登り龍が如く飛躍の1年となるように、「新規入会促進のための普及啓発活動」と「会員様の満足度を高めるための協会サービスの質向上施策」の両輪を軸に、着実かつ大胆に歩を進めてまいる所存です。会員の皆様におかれましても、ますますのご発展とご活躍の年になることをお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
一般社団法人 日本公認不正検査士協会 理事長
公認不正検査士 (CFE)
日本航空株式会社 社外監査役
日本電気株式会社 社外取締役
元 公益社団法人 日本監査役協会 会長
元 三井物産株式会社 代表取締役 副社長執行役員CFO