米国 ACFE 本部 Public Information Officer である Sarah Hofmann が ACFE Insights に投稿した記事を邦訳いたしました。身近な人により行われる詐欺について取り上げています。
本稿をお読みの方が、そのような詐欺を回避する一助となりましたら幸いです。
by Sarah Hofmann, 米国 ACFE 本部 Public Information Officer
詐欺は、被害者にとって、常に信頼を揺るがす不幸な出来事です。被害者の多くは、自分自身でさえ信用できなくなり、なぜ詐欺だと見抜けなかったのか、と自責の念に駆られます。
どのような詐欺であっても被害者の心は傷付きますが、それが友人や愛する人により行われたものであれば、より大きな傷が加わります。
ジュリアス・シーザーが親友ブルータスに率いられたローマ元老院議員により暗殺された日として知られている 3 月の中日 (原文の投稿日である 3 月 15 日) にちなんで、個人間の裏切りがお金を失う以上の傷を負わせてしまう事例をいくつか見ていきたいと思います。
もし友人が病院に運び込まれたと聞いたら、あなたはまず何をしますか? お見舞いに行きますか? 花を送りますか? それとも、クレジット カードを盗みますか?
ある女性の友人は、不幸なことに最後の選択肢を選びました。
Rebecca Johnston は、入院している友人のクレジット カードを使用した後、いくつかの詐欺行為により有罪判決を受けました。伝えられるところによると、その女性は、入院している間に何度か Johnston にお使いをお願いし、自宅から身の回りの品を持ってきてもらっていました。Johnston は、女性のカードを不正に使用して、1,000 ポンド相当の商品を購入し、有料放送を視聴していました。
The Derry Journal 紙によると、地方裁判所裁判官である Barney McElholm 氏は裁判で「信頼に対するひどい裏切りだ」と述べたそうです。
カナダで財務顧問をしていた Jacques Scribnock は、19 人の投資家からお金と信頼を奪い取りました。被害者の中には、家族や親しい友人も含まれています。伝えられるところによると、Scribnock は 4 年間の活動を通じて被害者から 280 万ドルを奪い取り、さらに、自らの痕跡を隠すためにダミー会社を用いていました。被害者のひとりである Diane McMartin 氏は Scribnock のいとこであり、また、他の被害者も友人やその家族です。
被害者の Richard Meehan 氏は、CBC の取材に次のように述べています。「この人物の正体やこの詐欺行為を知って一番辛かったのは、お金ではなく、15 年以上にわたって裏切られていたということです。そのことに一番傷付きました」
Scribnock のおばにあたり、被害者でもある Susan Brownrigg 氏は言いました。
「彼は多くの人の将来を奪い取りました。私の家族は、取り返しがつかないほどの被害を受けました。80 歳を超える老人が、どうしたら再起なんてできるのでしょうか。自分がひ弱であることを知っていて、人を信じていて、人を信頼している。そんな人を、彼は騙したのです。そこには私たちも含まれていました」
彼は会計士でしたが、伝えられるところによると、2007 年から顧客に対して 6~8% の配当を約束して、多種多様な事業や不動産に対する投資の勧誘を始めました。その顧客の中には友人も含まれています。しかし実際には、預かったお金を自分自身の海外旅行に使っていました。
連邦検事は、判決文で次のように述べています。
「彼は、家を訪れ、一緒に食事を取り、結婚式にも出席することで、言い表せないほどの信頼関係を築いた。彼は、長年にわたり、顧客のために税金の計算や財務の助言を行っていた」
投資を行った人や友人だった人の多くは、退職後の蓄えのほとんどを失った、と言いました。
親友や親戚が勧める投資は、まったくの他人が勧めるものよりも魅力的に感じるかもしれません。しかし残念なことに、そこにあるはずの信頼が破綻してしまう例も数多く存在します。
お金が絡む勧誘を受けた際は、あなたのお金と人間関係が失われてしまうことのないように、調査や精査を行うことを強くお勧めします。