日時:2015年6月15日(月)~17日(水)
場所:メリーランド州ボルティモア
「我々は世界規模の不正に対する国際警察になるつもりはないのです。そのようなことは不可能ですし、我々も望んではいません。我々は、積極的に国際的な汚職を調査し、組織犯罪を告発します。そして、市場、我々のネットワーク、プライバシー、市民を守るための闘いのため国際的な関与を深めていきます。」と米国司法省(DOJ)刑事局の司法次官補であるレスリー・R・コールドウェルは、月曜日の午前中の基調講演で語った。
コールドウェルは、不正の抑止と防止に対する業績によりACFEが授与する最高の賞であるクレッシー賞を受賞しており、ACFEの世界的な視野に感銘を受けている。「ACFEはカンファレンスで我々が(刑事局で)常に話題としているマネー・ロンダリング、財産の没収、私が眠ることもできないほど非常に恐ろしいサイバー犯罪・セキュリティなどのテーマを取り上げてくれています」
「インターネットにより、従来型の地域的な集団、例えば旧ソビエト連邦の小さな町で集まっていた人たちが、国際的な企業組織へと変化しました。また、世界中の犯罪者が米国にアクセスして、我々のデータを盗み、プライバシーを侵害し、我々に被害を与えることが可能になりました」彼女は、サイバー犯罪者が高速化するインターネット、仮想通貨、そして、「匿名化する」ソフトウェアを利用していると述べた。「1つの銀行に銃を突き付けて強盗に入るのではなく、自分の場所にいながら、わずか数分の間に何千もの銀行から金銭を奪います。ハッカーは1つの国の銀行から情報を盗み、別の国で自分の資金を勘定するのです」
コールドウェルは、刑事局が扱うあらゆる事例が、国際的な要素という「新たな日常」を持つようになったと述べている。つまり捜査当局は他の国際的な機関と緊密に協力することが欠かせなくなった。
インターネットベースの犯罪組織であるCarder.suがその典型である。その構成員は、流出したクレジットカード口座の情報を取引して個人情報を偽造し、マネー・ロンダリング、麻薬の取引などのあらゆるコンピュータ犯罪に手を染めている。「そういったウェブフォーラムの大部分は、旧ソビエト連邦を構成していた共和国に所在しています。世界中で起きていることですが、サイバー犯罪の多くが行われているのを目撃できる場所です」
5.500人の構成員の多くは、米国、西欧、東欧、そしてアフリカに存在している。Costra Nostraのようにその仲間になるには紹介が必要である。「そして、マフィアのように、忠誠心が足りないと思われれば、構成員の資格を剥奪され放り出されるのです。マフィアと違うのは、たくさんの死体が出ないことです」と彼女は語る。アマゾンのウェブサイトを真似るように、その組織のウェブサイトには違法な物品の写真とそのカスタマー・レビューが掲載されている。
刑事局は、この事例の解決のために覆面捜査官を潜入させるという従来からの手法を用いた。これまでに、世界で26名が有罪の判決を受け、残りは逃亡中かもしくは未決拘留中である。この事案の告発には、外国の法執行当局との協力が大きく貢献した。
「サイバー犯罪、組織犯罪、汚職は、現実に国際問題となっており、国際的な法執行機関のパートナーシップによってのみ効果的な対処が可能となります」とコールドウェルは述べた。
レスリー・R・コールドウェル氏 基調講演の動画はこちらから:
http://www.fraudconferencenews.com/home/2015/6/16/keynote-speaker-leslie-r-caldwell-1
ACFE JAPAN 理事長 濱田眞樹人